鉄骨の膨れ・変形の原因とは?水の凍結による劣化と改修方法
船田 隆行

工場や倉庫の点検を行っていると、鉄骨の柱や階段の手すりが一部だけ膨らんでいるケースがあります。
「ぶつけた跡かな?」「塗装が浮いているだけでは?」
と思われることもありますが、実際には鋼管内部に溜まった水が凍結して膨張したことが原因である場合が少なくありません。
特に長野県のような寒冷地では、冬場の凍結によって鉄骨内部の水が膨張し、鋼管そのものを変形させることがあります。
今回は、鉄骨が膨らむ原因と改修方法について解説します。
長野県のみなさん、こんにちは!
鉄骨が膨らむ原因
鋼管内部に水が侵入する

工場の鉄骨階段や手すり、柱には、角パイプ(角形鋼管)や丸パイプが使用されていることが多くあります。
これらは内部が空洞になっているため、
- 雨水
- 結露
- 外壁や屋根から流れ込む水
などが内部へ侵入すると、水が溜まってしまいます。
一度入り込んだ水は外へ排出されにくく、内部に滞留してしまうことがあります。
冬場に凍結して鉄骨が変形する

水は凍ると約9%膨張します。この膨張する力は非常に大きく、鋼管内部で水が凍結すると、内側から大きな圧力がかかります。
その結果、四角い鋼管は徐々に膨らみ、本来は角張っていた断面が丸みを帯びるように変形します。また、変形に伴って塗膜が割れたり、溶接部に負荷がかかったりすることもあります。
このような症状は、長野県のような寒冷地で特に発生しやすく、凍結と融解を繰り返すことで変形や劣化が徐々に進行していきます。
放置するとどうなる?
鉄骨が膨らんでいるということは、内部に水が溜まっている可能性があります。
この状態を放置すると、内部では錆が進行し続けるだけでなく、冬場には凍結と融解を繰り返すことで鋼管に大きな負荷がかかり、変形がさらに進行する恐れがあります。
また、変形した状態のまま表面だけを塗装しても、内部に水が残っていれば同じ症状が再発する可能性があります。
そのため、鉄骨の膨らみを見つけた場合は、見た目だけを補修するのではなく、内部の水を排出し、原因を取り除くことが重要です。
鉄骨の膨れの改修方法
①内部の状態を確認する
まずは変形の原因を調査します。
膨らみや錆汁が確認できる場合は、内部に水が溜まっている可能性があります。
必要に応じて打診や目視点検を行い、改修方法を判断します。
②水抜き穴を設ける

内部に水が溜まっている場合は、鋼管の最下部に水抜き穴を施工します。
穴を開けることで、
- 内部にたまった水を排出
- 今後入る水も排出
できるようになります。
水抜きは根本的な改善ではありませんが、内部に水を滞留させないために非常に有効な方法です。
③防錆処理を行う

水抜き穴を施工した部分は鉄が露出します。
そのため、「防腐処理」「下塗り」「上塗り」を行い、紡織機能を回復させます。
④必要に応じて鉄骨を交換する

変形が著しい場合や腐食が進行している場合は、部分的に交換したり補強をする必要があります。
現地調査のうえ、最適な改修方法をご提案します。
再発防止のポイント
鉄骨の膨らみは改修しただけでは再発を完全に防げるわけではありません。
重要なのは、雨水や結露などが鋼管内部へ入り込む原因を把握し、必要に応じてシーリングの補修や防水・塗装などの対策を行うことです。
また、工場や倉庫の鉄骨は高所に設置されていることも多く、異常が発生していても気付きにくい傾向があります。
そのため、定期的に点検を実施し、錆や変形、水の侵入がないかを確認することで、大規模な補修工事を未然に防ぐことにつながります。
まとめ
鉄骨の膨らみは、単なる塗装の不具合ではなく、鋼管内部に溜まった水が凍結して膨張したことが原因で発生している場合があります。
放置すると内部腐食が進み、変形や劣化がさらに進行する恐れがあります。
トラストでは、工場・倉庫・事務所などの鉄骨構造物の調査から改修工事まで対応しております。
「鉄骨が膨らんでいる」「手すりが変形している」「錆汁が出ている」など気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
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